脱毛エステサロンで行われている光脱毛の仕組み・原理

現在,脱毛エステサロンの脱毛方法は,手間もかからず痛みの少ない光脱毛(別名:美容ライト脱毛)方式が主流となっています。

しかし,なぜ光でムダ毛が脱毛できるのかご存知ですか?

光脱毛の仕組みを原理を知らないまま脱毛を受けると,無駄なお金を使ってしまうことになりかねません。

そこで今回は,脱毛エステサロンで行われている光脱毛の仕組み・原理について詳しくお話します。

1.光脱毛を理解するには,まず光について理解しよう

光脱毛ではその名の通り光を用いてムダ毛を脱毛していますが,そもそも光とはなんなのでしょうか。

光にはどのような特徴があるのでしょうか。

実は光の特徴を知らないと,光脱毛の仕組みを理解することはできません。

光の特徴はとても複雑ですが,これを知っておくだけでかなり基礎的な知識が身に付きます。

難しいとは思いますが,ぜひ最後まで記事を読んでいただければと思います。

1.1.光の特徴

実は,光というのは電磁波の一種です。

そして,電磁波というのは「波長」を持っています。

「波長」とは,波の長さのことです。波長は一つの波から次の波までの「一波(ひとなみ)」分の長さを指します。[1]

光は,電磁波のなかでは0.1〜10μmの波長の範囲を表しています。

特に,人間の目で見える波長の範囲の電磁波を「可視光線」といいます。

私達がよくいう普通の光(自然光)というのは,この可視光線のことを指しているのです。

もし可視光線より波長が短くなったり長くなったりすると,人間の目には見ることができなくなります。

私達がよく耳にする紫外線や赤外線は,人間の目で観測することはできませんが,これは可視光線の波長域から外れているからなのです。

可視光線とは

図2 可視光線と波長

1.2.波長と色の関係

物体に当たった光の波長のうち,物体に吸収されずに反射された波長を人の目(網膜)が受け取ると,私達はその波長をその物体の「色」として認識します。

例えばりんごは,さまざまな波長を持つ自然光を受けると赤い波長の光(600~700nm)のみを反射し,ほかの波長の光をすべて吸収します。だから,私達の目にりんごは赤く見えるのです。

りんごが赤く見える理由

図3 りんごが赤く見える理由

2.毛の色とメラニンの関係性

メラニン,ヘモグロビン,水の光吸収スペクトル

図4 メラニン,ヘモグロビン,水の波長吸収度
出典:エステティシャンのための美容ライト脱毛実技理論(一般社団法人 日本エステティック工業会 発行)

私たち日本人の毛の色は基本的に黒いですよね。

これは,毛のなか(毛皮質)にメラニンと呼ばれる黒い粒が数多く含まれているからなのです。

メラニンというものは可視光領域の波長の光を吸収しやすい性質を持っています。メラニンが吸収する波長は一般的に300nm~1500nmといわれています。

メラニンが可視光線の光を吸収すると,どうなるのでしょうか。

普通の光が全て吸収されてしまうので,私達から見ると何も波長が反射されてこないのでメラニンは黒く映ります。

従って,毛のなかにメラニンの量が多いと,毛は黒く見えるのです。

逆に,外国の方は茶髪や赤髪の方が非常に多いですが,これは髪の毛に含まれるメラニンの量が日本人よりも少ないからなのです。

そして,このメラニンという粒が,光脱毛と大きな関わりを持っています。

ムダ毛を脱毛をするには,皮膚のなかに存在する毛を加熱させることで,毛にダメージを与えて毛を抜けやすくしなければなりません。

光脱毛では何をするのかというと,メラニンに反応しやすい光を照射することでメラニンに光のエネルギーを溜めて,毛を加熱させるのです。

上記で説明したように,メラニンが吸収しやすい波長域は300nm~1500nmといわれています。(図4参照)

しかし,図4のグラフを見て頂くとわかるとおり,300nmの波長の光を照射してしまった場合,私達人間の血液に含まれているヘモグロビンも加熱してしまうことになるため,毛以外の部位も火傷させてしまう恐れがあります。

毛以外の部位を加熱させないためには,血液中のヘモグロビンと体内の水分に吸収されにくい波長で,かつ,メラニンに吸収されやすい波長の光を照射する必要があります。

メラニン,ヘモグロビン,水の吸収度を見ると波長が短くなるとメラニンの吸収度も大きくなりますが,ヘモグロビンの吸収度も大きくなってしまいます。逆に,波長が長すぎると水の吸収度が大きくなってしまいます。

図5を見ると,メラニンの吸収度が大きく,ヘモグロビンと水の吸収度が小さい波長域は700nm~1100nmの範囲だということがわかります。

つまり,この波長域の光を照射すれば,他の部位を加熱させることなく,毛のみを加熱させることができるのです。

3.光脱毛機の光とは

光脱毛機の波長

図5 光脱毛機 ルネッサンス-GT-の波長
出典:株式会社コンフォートジャパン 製品紹介ページ

脱毛エステサロンで用いられている光脱毛機ではIPL(Intense Pulsed Light /インテンスパルスライト)という光を照射して,脱毛を行っています。

このIPLという光は,可視光線から近赤外線領域の波長(およそ500nm~1200nm)なのです。

従って,IPLの光はメラニン色素にのみ反応し,毛を加熱し脱毛することができるのです。

また,IPLの光は,もともと美容医療でシミやソバカスといった肌のくすみを改善するために使用されていた美容機器なので,光脱毛を受けると副次的にそれらの効果が表れることもあるようです。

(IPLの光は500~1200nmという広い範囲の波長を持つことから,紫外線や乾燥,加齢の影響で沈着してしまったメラニン色素にも温熱作用が働きます。これにより,メラニン色素の排出を促進することができ,シミやソバカスといったの肌のくすみを改善することができます。美容医療ではIPLの光は肌のくすみ対策治療として用いられています。)

4.光脱毛の注意点

現在の日本では,光脱毛機で永久脱毛を行うことはできません。

高出力な脱毛機の使用は皮膚の炎症や火傷の危険性を伴うため,医療行為であると定められています。

永久脱毛を受けられるのは医療機関だけなのです。

あくまでエステサロンの光脱毛は除毛・減毛しかできないことを理解しておいてください。

このことは厚生省からも通達されていますし,日本エステティック協議振興会のホームページにはっきりと記載されています。

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脱毛行為等に対する医師法の適用

以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。

・ 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
(詳しくはこちらをご覧ください)

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美容ライト脱毛を行うサロンは

1) 厚生労働省医政局医事課通知(医政医発第105号)に抵触するような施術は行わないこと。
2) 毛乳頭・皮脂腺開口部を破壊しないということは、現象面で毛の再生があること。
3) 一時的な除毛・減毛であること。

以上を徹底するよう心掛けてください。
(詳しくはこちらをご覧ください)

また,当サイトでは除毛・減毛を希望している方に対しても医療機関での脱毛をすすめています。

エステサロンには医師が存在しない上に,万が一肌のトラブルがあったとしても薬を処方することができないからです。

また,光脱毛機は一般人でも取り扱える脱毛機であることから,未熟なエステティシャンによる肌トラブルが後を絶ちません。

参考記事:年間350件以上!?こんなに多い脱毛サロンの健康トラブル

脱毛はムダ毛にダメージを与える行為です。自分の身の安全を一番に考えるならば,除毛・減毛のみを検討している方でも医療機関での脱毛をおすすめします。

5.まとめ

今までの話を簡単にまとめてみましょう。

光脱毛では,黒い毛に反応しやすい波長の光を毛に照射することで,毛を加熱することができます。

そして,毛を加熱させることにより,毛にダメージを与え,脱毛することができるのです。

ただし,脱毛サロンの光脱毛方式は,安全の観点から永久脱毛を行えるレベルの光エネルギー照射することはできないため,あくまで除毛・減毛しかできません。永久脱毛ではないので注意してください。