医療機関で行われているレーザー脱毛の仕組み・原理

現在,医療機関における脱毛方法はスピーディーで脱毛効果の高いレーザー脱毛が主流となっています。

しかし,レーザー脱毛の仕組みや原理がわからないと,不安でなかなか脱毛に踏み込めませんよね。

まず,レーザー脱毛の仕組みや原理を知ってから,脱毛を受けてみたいという方は非常に多いのではないでしょうか。

レーザー脱毛の仕組みや原理を知っておけば,自分の皮膚や毛でどんなことが起こるのかがわかるようになり,万が一トラブルが起こったときも冷静に対処することができます。

また,悪質な医療機関に出くわしてしまったときに,レーザー脱毛に関する基礎的な知識があれば,悪質な医師や看護師の嘘を見破ることができます。

レーザー脱毛の原理を知っておくことは,自分の身を守るためにとても重要なことなのです。

そこで今回は,レーザー脱毛の仕組み・原理について詳しくお話します。

1.レーザーについて理解しよう

世間ではレーザー脱毛といいますけど,そもそもレーザーとはなんなのでしょうか。

レーザーにはどのような特徴があるのでしょうか。

実はレーザーの特徴を知らないと,レーザー脱毛の仕組みを理解することはできません。

レーザーの特徴はとても複雑ですが,これを知っておくだけでかなり基礎的な知識が身に付きます。

難しいとは思いますが,ぜひ最後まで記事を読んでいただければと思います。

※途中で難しいと感じた方は,この記事の「まとめ」だけを見て頂ければ概要がわかるので,そちらをご覧ください。

1.1.レーザーと光

まず,レーザーを理解するには,光についても理解する必要があります。

レーザーとは光の一種です。

では,光とはなんなのかというとこれは電磁波の中の0.1〜10μmの波長の範囲を表しています。

つまり,光というのは電磁波の一種なのです。

したがって,レーザー光も電磁波に含まれます。

そして,電磁波というのは「波長」を持っています。

「波長」とは,波の長さのことです。波長は一つの波から次の波までの「一波(ひとなみ)」分の長さを指します。[1]

1.2.可視光線とは

電磁波のうち,人間の目で見える波長の範囲を「可視光線」といいます。

私達がよくいう普通の光(自然光)というのは可視光線のことを指しているのです。

もし可視光線より波長が短くなったり長くなったりすると,人間の目には見ることができなくなります。

私達がよく耳にする紫外線や赤外線は,人間の目で観測することはできませんが,これは可視光線の波長域から外れているからなのです。

可視光線とは

図2 可視光線と波長

1.3.レーザー光と普通の光の違い

では,レーザー光と普通の光(太陽光,電球・ランプの光など)は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

まずレーザー光は,光がほとんど広がることなく真っ直ぐに進む性質を持っています。これを「指向性が高い」といいます。
これに対して,普通の光は,光が四方八方に広がってしまう性質を持っています。

また,レーザー光は波長が全て一定で,ひとつの色で出来ています。これを「単色性」といいます。
これに対して,普通の光は波長がバラバラであるため,色が混ざっています。蛍光灯が白く見える原因は,蛍光灯から発せられる光の波長がバラバラだからなのです。

さらに,レーザー光は光の波どうしの山と山のそろい方が時間的に揃っている性質を持っていて,レーザーどうしを重ね合せるときれいに山どうし・谷どうしが強め合う特徴を持っています。これを干渉性が高い。または,コヒーレンスが高いといいます。
レーザー光はこのように山どうし・谷どうしが強め合う特徴を持っていることから,狭い面積に高密度な光エネルギーを集中でき,照射した部位の温度を素早く上げることができるのです。
これに対して,普通の光の場合は,波長がバラバラであることから,山と谷の揃い方がバラバラになってしまいます。
したがって,レーザー光と比べるとエネルギーを集中させることが難しく,ある一点の温度を上げることが難しくなります。

レーザーと自然光の違い

図3 レーザー光と自然光の違い
出典:エステティシャンのための美容ライト脱毛実技理論(一般社団法人 日本エステティック工業会 発行)

1.4.波長と色の関係

物体に当たった光の波長のうち,物体に吸収されずに反射された波長を人の目(網膜)が受け取ると,私達はその波長をその物体の「色」として認識します。

例えばりんごは,さまざまな波長を持つ自然光を受けると赤い波長の光(600~700nm)のみを反射し,ほかの波長の光をすべて吸収します。だから,私達の目にりんごは赤く見えるのです。

りんごが赤く見える理由

図4 りんごが赤く見える理由

2.毛の色とメラニンの関係性

私たち日本人の毛の色は基本的に黒いですよね。

これは,毛のなか(毛皮質)にメラニンと呼ばれる黒い粒が数多く含まれているからなのです。

メラニンというものは可視光領域の波長の光を吸収しやすい性質を持っています。メラニンが吸収する波長は一般的に300nm~1500nmといわれています。

メラニンが可視光線の光を吸収してしまうと,どうなるのでしょうか。

普通の光が全て吸収されてしまうので,私達から見ると何も波長が反射されてこないのでメラニンは黒く映ります。

従って,毛のなかにメラニンの量が多いと,毛は黒く見えるのです。

逆に,外国の方は茶髪や赤髪の方が非常に多いですが,これは髪の毛に含まれるメラニンの量が日本人よりも少ないからなのです。

そして,このメラニンという粒が,レーザー脱毛と大きな関わりを持っています。

3.レーザー脱毛機とメラニンの関係性

メラニン,ヘモグロビン,水の光吸収スペクトル

図5 メラニン,ヘモグロビン,水の波長吸収度
出典:エステティシャンのための美容ライト脱毛実技理論(一般社団法人 日本エステティック工業会 発行)

そもそも毛を永久脱毛をするには,何をどのようにすればいいのでしょうか。

それは,皮膚のなかに存在する,毛の発育機能を持つ毛母細胞を破壊することです。

毛母細胞を破壊するには、最低65℃~70℃以上の熱が必要です。

絶縁針脱毛方式では,直接皮膚に針を刺し込み電流を流すことによって毛を加熱させ,毛母細胞を破壊していました。

では,レーザー脱毛では何をするのかというと,メラニンに反応しやすいレーザー光を照射することでメラニンに光のエネルギーを溜めて,毛を加熱させるのです。

毛の色とメラニンの関係性で記載したように,メラニンが吸収しやすい波長域は300nm~1500nmといわれています。(図5参照)

しかし,図5のグラフを見て頂くとわかるとおり,300nmの波長のレーザー光を照射してしまった場合,私達人間の血液に含まれているヘモグロビンも加熱してしまうことになるため,毛以外の部位も火傷させてしまう恐れがあります。
毛以外の部位を加熱させないためには,血液中のヘモグロビンと体内の水分に吸収されにくい波長で,かつ,メラニンに吸収されやすい波長のレーザー光を照射する必要があるのです。

メラニン,ヘモグロビン,水の吸収度を見ると波長が短くなるとメラニンの吸収度も大きくなりますが,ヘモグロビンの吸収度も大きくなってしまいます。逆に,波長が長すぎると水の吸収度が大きくなってしまいます。

図5を見ると,メラニンの吸収度が大きく,ヘモグロビンと水の吸収度が小さい波長域は700nm~1100nmの範囲だということがわかります。

つまり,この波長域のレーザー光を照射すれば,他の部位を加熱させることなく,毛のみを加熱させることができるのです。

主に脱毛に使用するレーザーは,ルビーレーザー(694nm),アレキサンドライトレーザー(755nm),ダイオード(半導体)レーザー(800nm),Nd:YAGレーザー(1064nm)といわれています。これらのレーザー装置がなぜ脱毛機として使用されているかというと,メラニンの吸収度が大きく、ヘモグロビンと水の吸収度が小さいからなのです。

4.レーザー光で脱毛できる原理

今までの話を簡単にまとめてみましょう。

①レーザー脱毛では,黒い毛に反応しやすいレーザー光を毛に照射することで,毛を加熱することができます。

②そして,毛を加熱させることにより,毛の発育機能を持つ毛母細胞を破壊します。

毛母細胞が破壊されることにより,次の周期で毛が生えなくなるため,永久脱毛が可能なのです。

5.レーザー脱毛の注意点

実は,レーザー脱毛は誰でも怪我なく脱毛できる万能な脱毛方法ではありません。

レーザー脱毛では上述したように,レーザー光を毛に照射して毛を加熱します。

そのため,毛の周辺にある皮膚が軽い火傷状態になります。
人によって,かなり赤く腫れてしまう可能性もあります。

また,レーザー脱毛機は黒い毛のみ加熱しやすい特徴を持っていることから,脱毛したい部位における毛の色が薄い人や細い毛の人は,脱毛効果が薄くなってしまいます。

しかし,近年はレーザー脱毛機の技術が進化しているため,色が薄い毛や細い毛も場合によっては脱毛が可能になっているようです。自分が脱毛したい部位が脱毛できるかどうかは,事前に医師と確認を取るようにしてください。

加えて,レーザーの特徴から,濃いシミやアザ,ホクロ,日焼け肌にはレーザーを照射できない場合があります。毛以外の箇所に火傷を負ってしまう可能性があるからです。こちらに関しても,事前にスキンチェックを受けて,自分が脱毛したい部位がレーザー脱毛できるかどうかを医師と確認するようにしてください。

6.まとめ

レーザー脱毛は,黒いものに反応しやすいレーザー光線を毛に当てることで毛を加熱しています。

そして,毛を加熱することで毛の真下に存在する毛母細胞を破壊し,毛を生えなくしているのです。

しかし,レーザー脱毛は「黒いものに反応しやすい」「毛を加熱する」という特徴を持つことから,日焼け肌や,シミ,アザなどの色素沈着が濃い部位にはレーザー照射をできなかったり,皮膚が火傷する可能性があることも忘れないでください。