脱毛する前に知っておくべき体毛の7つの役割

毛深かったり,ムダ毛が目立ってしまう人は,「どうしてこんな毛が生えてくるんだ・・・」と一回くらい考えたことはありませんか。

「最初から毛なんて生えてこなければいいのに」と悩んでしまう方は多いと思います。

私もヒゲが濃すぎて,なんでこんなところに毛が生えてくるんだろうと悩んでいました。

ヒゲに限らず胸毛やワキ毛なども,男からしてみると何の役にも立たなさそうな毛にしか思えません。

しかし,一見なにも存在価値がなさそうなムダ毛でも,本来はしっかりとした役割があることをご存知ですか。

そこで今回は,体毛・ムダ毛の役割について,まとめてみました。

ムダ毛に悩んでいる方は,この記事を参考にしていただけると幸いです。

1.体毛の役割

1.1.皮膚・身体の保護

現在のように衣服を着始める前,サルから進化したといわれている人類は,原始時代にはまだ全身に長い体毛が生えていました。

人類は,原始時代には槍や斧などで動物を狩っていたことから,外敵から身を守る必要がありました。

体毛は,この外部の物理的な刺激・衝撃から身体を保護するためのものなのです。

また,かつては衣服に使用された装備が硬かったせいもあり,衣服との摩擦から肌を痛めないように防御する役割もありました。

しかし,現代では肌触りの良い布地が衣服に使用されていますから,それによって肌を痛めてしまうようなことはなくなりました。

肌触りの良い衣服を着用するようになってから,直接的保護の意味合いは薄れ,体毛の長さは徐々に短くなっています。

とはいえ,皮膚の保護の役割は多少残っているといえます。

まだ残っている体毛は,ちゃんとそれなりの役割を担っているのです。

例えば,頭髪や腕毛,スネ毛などは,外部からの刺激,衝撃から身体を保護しています。

私たちには体毛があるおかげで,日常の刺激や衝撃による怪我も,それが原因で引き起こされる疾病も,その度合が多少和らげられているのです。

1.2.触覚機能・危険察知

蝶の幼虫であるイモ虫の類は,体中に繊毛という薄い体毛が生えています。

これは体を保護すると同時に,視覚が発達していない幼虫の重要な知覚手段となっています。体毛による触覚を利用して外界の情報を得ているのです。

また動物実験では,普通のマウスと毛が生えていないヌードマウスとで触覚の差を調べると,体毛がまったくないと,あるときに比べて触覚が20分の1近くになるという例もあります。動物の場合は,その触覚が発達しており,外界の危険性などの情報をキャッチし,生体の防御につながっています。

人間の体毛の場合は,イモ虫やマウスほど鋭敏ではありませんが,触覚を多少なりとも体に伝達しています。

例えば,ザラザラする・カサカサする・スベスベする・ツルツルするといった情報を感知することができます。暗闇でも危険や障害物を察知することができます。

人間の場合,毛が何かに触れると,毛を支えている立毛筋という筋肉によって,感覚が伝達されます。

特に,人間の体毛で,触覚機能がもっとも残っているのが髪の毛でしょう。これは皆さんも実感としておわかりいただけることと思います。頭髪の場合は,長く,硬いので(硬毛なので),ものが触れると比較的察知しやすいといえます。また衝撃のクッションにもなりやすいです。

しかし,体毛全体でいえば,生体防御につながるほど鋭敏ではないと思います。

1.3.体温の維持

人間の体には,ホメオスタシスといって,体温を一定に保っておくシステムが備わっています。

ホメオスタシスとは 「生体の恒常性」ともいわれており,体を一定の状態に保つはたらきのことです。

例えば,寒くなったり,暑くなったり,雨が降ったり,湿度が高くなったり,気圧が変化したりするなど,私達が暮らす環境はつねに一定ではありません。

その環境の変化に体が対応できないと
・夏なら,体温がどんどん上昇して,意識がもうろうとします。
・冬なら,体温がどんどん低下して,身体が動かなくなります。
こうなってしまっては,人間は生きていけません。

・体温が上昇したら,汗をかいて熱を逃がして体が熱くならないようにする。
・体温が低下したら,筋肉をブルブルとふるわせて,体の内部で熱を作り,体が冷えないようにする。

このように,環境の変化に反応して体を変化させて,健康な状態を維持しようとするのがホメオスタシスです。

体毛は,この体温の維持に欠かせないものなのです。

皮膚には体温を調整するための発汗作用がありますが,体毛によって体の熱が空気に触れる表面積が増えるため,効率的に体を冷やすことができます。人間の毛が細い理由も,表面積を最大限に大きく取り,熱を逃がしやすくするためなのです。

また,頭髪などは,頭に降り注ぐ太陽光線からの熱を吸収し,体温の急な上昇を防ぐ断熱効果もあります。

しかし,これも人類が衣服を身につけはじめたことによって,この役目が徐々に薄れている傾向があります。

余談ですが,ワキ毛などを剃る・脱毛すると逆にワキ汗が増えたという例が多くみられます。
これは毛を剃ることによって体の冷却効果が下がってしまい,汗が増えてしまったのではないかと考えられています。

1.4.ゴミ・ばい菌の侵入を防ぐフィルター機能

体毛には,外部の衝撃から身を守る保護機能だけでなく,外部のゴミやチリ,ばい菌などの侵入を防ぐためのフィルターの役割があります。

最も分かりやすい例が鼻毛だと思います。

気づいたら,いつの間にか「だら~ん」と伸びている鼻毛。学校や仕事から帰ってきて,鼻毛が伸びているのに気づいた日には,周りの人に見られていたかもしれないと恥ずかしくなりますよね。

しかし,鼻毛がもし生えなかったら,外部のばい菌やホコリなどをそのまま通してしまうため,花粉症やハウスダストアレルギーの危険性を高めてしまいます。私達が花粉の時期にマスクをつける理由をよく考えてください。

また,鼻毛には呼吸するときに空気の湿度を保ち乾燥を防ぐ保湿効果もあります。この機能が働くため,空気の悪いところやホコリの多いところでは鼻毛がより伸びやすくなったりするのです。

1.5.紫外線の吸収

人間の体毛にはメラニンが含まれています。このメラニンによって紫外線を毛で吸収し、紫外線から身を守っています。

毛の中のメラニンは,紫外線を吸収し,紫外線が体内へ侵入するのを防御し,また排出する役割を持っているのです。

人間が頭にのみ多く毛が残った理由は,頭上から浴びる紫外線が最も強烈であり,生命維持のために頭部の紫外線防御が大切だったからだといわれています。

1.6.毒素の排出

体毛には体内の毒物を排出する機能があるともいわれています。

たとえば,髪の毛には,体内の消化しきれない老廃物が血液によって集まっており,髪が生えて抜けることで体外に出て行くとも言われています。しかし,こちらは正確なメカニズムが解明されていません。

また,体内に異物,特に水銀などの重金属が入り込んだ場合には,体毛からもその排出が少し行われていると言われています。

しかし,入れ墨などは有機,無機の顔料を使用しますが,入れ墨をした皮膚上の毛から水銀や銀が多く検出されたという実証はありません。加えて,入れ墨の毒素を排出しやすくするために,その部位の毛が多くなるかというとそうではなく,むしろ薄くなっています。

ですから異物を感じとり排出するメカニズムは,まだ結論づけて言い切れない部分が多く,この点に関してはまだわからないのが現状です。

1.7.その他

1.7.1.異性へのアピール機能・フェロモンの拡散

例えば,ワキ毛や陰毛は異性を呼び寄せる手段の一端を担っているという考えもあります。

ワキ毛や陰毛が生える部分は,アポクリン線といって,強い体臭の発生源となる汗腺があります。
ワキから臭うワキガは,日本人には嫌われていますが,欧米人はある程度体臭のある人のほうが異性にもてることもあります。また,唐の玄宗皇帝がかの楊貴妃に魅了された大きな要因は,そのエキゾチックな体臭,つまりワキガにあったともいわれています。

もともとアポクリン線は,ワキの下,陰部,肛門など生殖機能に関連した部位に分布しています。現に動物の社会では,異性を惹きつける芳香線としての重要な機能があります。

ですからワキガをより発散させるために,ワキ毛の発育が促されている面もあると考えることができます。

1.7.2.ファッション性・性的特徴を示す

現代では,体毛は「機能」ばかりの役割ではなく,その人の性的特徴やアイデンティティなどを表現している要素が含まれています。

ワキ毛,ヒゲ,胸毛などは,思春期になると産毛から剛毛へと変化していきますが,これらの体毛は男女の性的特徴を示すものともいえます。

私たちはパッと人を見て「あ,この人は男性だな」「女性だな」と判断していますが,そのときに体毛がひとつの判断基準になっていますよね。

たとえば,胸毛やヒゲなどは男らしさの象徴にもなっています。

同様に,髪の毛もその人の特徴を決定づける大きな要素になっています。

私たちは,他の人のヘアスタイルや色を見ただけで,その人が男性か女性か,どこの国の人か,学生か社会人か,どんな職業についてそうか,どんな性格の人なのか,実に多くのことを考え,推量しています。

もはや現代において,どんなヘアスタイルをしているかは,その人のアイデンティティにもなっているといってもいいでしょう。髪の毛は,ファッションの要素としても欠かせない役割を占めています。

2.体毛の役割からわかるムダ毛の存在理由

上記で体毛の役割について述べましたが,このことから,私達が考えているムダ毛(ヒゲ,ワキ毛,陰毛など)にも本来はちゃんとした役割があることがわかります。

例えば,ヒゲは,もともとは外敵から口やアゴを守るために生えていることがわかります。
ワキ毛などは,太い血管やリンパ腺の保護,皮膚同士の摩擦を和らげたり,熱を発散しやすくするため生えていることがわかります。
陰毛などは,デリケートな生殖器官を保護し,ゴミやばい菌の侵入を防ぐために生えていることがわかります。

 

ムダ毛の種類 本来の役割
ヒゲ 口やアゴを外敵から守る
鼻毛 ゴミやばい菌が入らないようにする
ワキ毛 リンパ腺や血管を保護する,皮膚同士の摩擦を和らげる,汗を発散させやすくする
腕毛 外部の衝撃から腕を保護する,危険を察知しやすくする
胸毛 胸に配置されている内臓器官を保護する(心臓,腎臓,肝臓,胃など)
すね毛 外部の衝撃から脚を保護する,危険を察知しやすくする
尻毛(ケツ毛) 肛門の粘膜の保護する,ゴミやばい菌が入らないようにする
陰毛 生殖器官を保護する,ゴミやばい菌が入らないようにする

3.まとめ

人類は時代の変化と共に,生活の仕方や衣服が発達し,人間自身が体温をコントロールする必要や衝撃から身を守る必要がだんだん薄れてきました。昔は必要とされてきていたムダ毛も,今では生活環境の変化によって存在価値が薄れています。

原始時代と違い,食糧を得るためにわざわざ狩りを行う必要もないため,毛が濃い必要もなくなりました。

しかし,体毛とは,いろいろな役割を持ち,必要だから生えているいうことを理解いただけたでしょうか。

無駄な毛とは,本来存在しないのです。

見た目が良くないことで嫌厭されるムダ毛ですが,完全に脱毛してしまうと上記のような役割を果たせなくなり,身体が冷えやすくなったり,感覚機能が鈍る可能性があります。

永久脱毛を考えている方は,本当に脱毛すべきかどうか,しっかりと体毛の役割を把握して頂いたうえで脱毛を行ってほしいと思います。